映画「窓ぎわのトットちゃん」の主題歌である
あいみょんの「あのね」。
映画のためにあいみょんが書き下ろした楽曲です。
トットちゃんと泰明ちゃんの関係をみながら、
その関係性をリスペクトしてこの楽曲を作ったそうです。
トットちゃんの行動に紐づいた深い歌詞となっています。
この記事では、
「あのね」の歌詞を考察していきたいと思います。
あいみょん「あのね」の歌詞考察
歌詞考察①泰明ちゃんとトットちゃんの儚さ
さよなら
その口癖は
誰譲りなの会うたびに
寂しく なるのよ少し
手を振るだけで消えてしまうようで
私が描きすぎてる
明るい明日に 君も いる
ガラスの鳥の背中に またがる私
笑う君と天使
会うたびに寂しくなるのよ
手を振るだけで消えてしまうようで
という歌詞は、
トットちゃんが感じ取っていた泰明ちゃんの儚さが感じられます。
小児麻痺を患っていた泰明ちゃん。
他の子のように体を動かすことができず、
ふとした瞬間に悲しい表情を見せる男の子でした。
小児麻痺についてよくわかっていないトットちゃんは、
そんなのお構いなしで明るく接しているように見えました。
しかし感受性の豊かなトットちゃんは、
泰明ちゃんの儚さを感じとっていたのでしょう。
だから会うたび寂しさを感じていたのかもしれませんね。
笑う君と天使
という歌詞からは、
いつか天使と天国にいってしまいそう
という気持ちも感じ取れます。
トットちゃんも儚く繊細な存在
ガラスの鳥の背中に またがる私
この歌詞からは、
鳥の背中にまたがり自由に飛び回っている
トットちゃんが連想されます。
しかしその鳥はガラスでできて儚く繊細なものなのでしょう。
いつも元気いっぱいのトットちゃんですが、
小林先生に
どうして、みんな私の事を困った子と言うの?
と聞くなど、
自分がどこかみんなと違うことを悟っていたことがわかります。
そんなトットちゃんの儚さが表現された歌詞ではないでしょうか。
歌詞考察②ありのままが素晴らしい
昨日にはなかったもの
みせてあげたい会いたい
寝癖がある君の方が
なんだか生きているって感じる
まだ幼い顔つきで怒る
その口の形も愛おしい
昨日にはなかったもの
みせてあげたい会いたい
この歌詞は、
小児麻痺のせいで消極的になっている泰明ちゃんに、
木登りやプールなど、
新しい楽しさを見せてあげたいという
トットちゃんの気持ちが感じられます。
寝癖がある君の方が
なんだか生きているって感じる
この歌詞は、
寝癖のようにちょっとおかしなところがあっても、
むしろそのほうが生き生きして素晴らしい
ということではないでしょうか。
泰明ちゃんの「小児麻痺」を、
トットちゃんなりに表現すると、
「寝癖」になったのかもしれませんね。
まだ幼い顔つきで怒る
この歌詞は、
トットちゃんがわざと腕相撲で負けた時に、
本気で怒った時の泰明ちゃんの姿が連想されます。
歌詞考察③トットちゃんの切ない気持ち
孤独を移す影や歩幅
スピード取り戻してあげたい
潰れそうな 何かがあるなら
後ろから抱きしめる
許されるまで強く
- 歩幅
- スピード
などの歌詞から、
他の子と同じように歩けない泰明ちゃんが連想されます。
潰れそうな 何かがあるなら
後ろから抱きしめる
この歌詞はトットちゃんの
泰明ちゃんへの気持ちだと解釈できます。
感受性が豊かなトットちゃんは、
泰明ちゃんの悲しみや葛藤に敏感に気付いていました。
「潰れそうな何か」を感じ取っていたのでしょう。
何をすれば良いかはわからないけれど
とりあえず後ろから抱きしめてあげる!
というトットちゃんの健気さが感じられます。
歌詞考察④悲しみと希望
ありがとう
そのセリフには
不安もよぎる 不思議だね
素敵な言葉なんだと
教わったはずなのに 消えて しまいそうで
あの水溜まりを越えられたら
きっとこれからは会えるんだ
この歌詞は、
泰明ちゃんの死を告げられたトットちゃんが、
水たまりの中に転んで泣くシーンを思い出させます。
泰明ちゃんを失ったトットちゃんは
「ありがとう」という素敵な言葉さえ不安になってしまう
深い悲しみの中にいるのでしょう。
しかしその悲しみ(水たまり)を乗り越えることができれば、
きっとこれからは心の中で泰明ちゃんに会える
ということではないでしょうか。
歌詞考察⑤抜け出せない悲しみ
許されない願い事が
あるとは 信じたくはないんだよ
つま先立つ沈まないように
それなのになぜだろう 君が遠い
伸びてく影が少しだけ 増えて
何か言おうとしていた
通り雨は君の涙さえ私に見せなかったの
おそらくこの部分の歌詞も、
泰明ちゃんが死んでしまった後の、
トットちゃんの気持ちではないでしょうか。
なかなか悲しみから抜け出せない様子が感じられます。
つま先立つ
この歌詞からは不安定な心理状況がうかがえます。
沈まないように
そんな不安定な状態で、
悲しみに飲み込まれて沈まないように
必死に耐えている様子が感じられます。
しかしそれでも「君は遠い」と感じています。
何か言おうとしていた
通り雨は君の涙さえ私に見せなかったの
この歌詞からは、
もっと泰明ちゃんのためにしてあげたかった
してあげるべきことがあったはず
というトットちゃんの優しい気持ちが伝わってきます。
歌詞考察⑥トットちゃんが泰明ちゃんに寄り添う気持ち
漂う予感に惑わされてしまわないように
信じてる信じてる
君の言う矛盾に隠れているほんとの気持ちに
気づいている気づいているから
この部分の歌詞は、
トットちゃんが泰明ちゃんの寄り添おうとする
気持ちが感じられます。
- 色々なことに惑わされずに君のことだけを信じる
- 君の言葉の裏に隠されている気持ちさえもちゃんと気づいている
というトットちゃんの泰明ちゃんへの愛がうかがえます。
こんな親友を持てた泰明ちゃんは幸せですね。
まとめ
今回は、
映画「窓ぎわのトットちゃん」の主題歌である
あいみょんの「あのね」の歌詞を考察してきました。
トットちゃんと泰明ちゃんの儚さと強さが
美しい歌詞の中に描かれている
素敵な楽曲であることがわかりました。
本編を観た後に聴くと感動がこみ上げてくるでしょう。