「天使にラブソングを」には主演のウーピー・ゴールドバーグをはじめ、
黒人が多く出演しています。
今回はその起用理由について調べてみました。
「天使にラブソングを」に黒人が起用された理由は?
ウーピー・ゴールドバーグ:ベット・ミドラーが降板したから
最近は多様性を重視したキャスティングに賛否がありますが、
ウーピー・ゴールドバーグの場合は、
多様性を意識したものではなかったようです。
黒人を主人公にした作品を作ろう
というものではなく、
もともとは白人女優を主人公にした作品だったそうです。
しかしその女優さんが降板したことで、
ウーピーが抜擢されることになったといいます。
もっと詳しく見ていきましょう。
白人女優ベット・ミドラーが主役の作品だった
若き脚本家だったポール・ラドニックが、
殺人を目撃したナイトクラブの歌手が修道院に匿われる
という物語を思いついたそうです。
ラドリックは主役の歌手役をベット・ミドラーが演じることを前提に
脚本を書いたといいます。
ベッド・ミドラーは女優、歌手として活躍しており、
コミカルな演技と抜群の歌唱力に定評がありました。
白人元女優のドロリス・ハーツをモデルに
主役をオファーされたベット・ミドラーは、
脚本家のラドリックに、
実際に修道院へ行き取材してくるべき
と提案したといいます。
そこでラドリックは、
ハリウッドのスター女優から修道院に転身した
ドロリス・ハーツのいる修道院を訪れたのです。
ドロリス・ハーツは、1938年生まれの元女優。
1957年19歳でエルヴィス・プレスリーの相手役を演じた
「さまよう青春」で映画デビュー。
1963年まで9本の映画に出演しましたが、
1963年、24歳の時にハリウッドを離れ修道院に入りました。
ドロリスは病気を患っていたため、
面会することはできませんでしたが、
彼女の修道院を取材することで、
アイデアを得たといいます。
ドロレス・ハートをモデルにしたことから、
主人公の名前を「デロリス」としたそうです。
ベット・ミドラーが降板しウーピーへ
白人の元女優ドロレス・ハートをモデルとし、
白人女優のベット・ミドラーを主役として脚本が作られる中、
突然ベッド・ミドラーが降板してしまいます。
修道女の姿をすることに不安を感じたことが降板理由だと言われています。
そしてその後、
本作の脚本に興味を示したのが、
当時、歌唱力もコメディセンスも評価されていた
ウーピー・ゴールドバークだったのです。
・スタンダップ・コメディの舞台やテレビに出演
・1984年「The Spook Show」公演が注目され、同公演の録音でグラミー賞最優秀コメディ・アルバム賞受賞
・1985年「カラーパープル」で主役を演じ映画デビューし、ゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ドラマ部門) 受賞
すでにこのような実績があったウーピーが、
デロリス役に正式決定されました。
このように、
ウーピー・ゴールドバークがキャスティングされた背景には、
白人女優の降板劇がありました。
黒人のための役だからウーピーが選ばれたのではなく、
歌唱力とコメディセンスのある役だから選ばれた
ということだったようですね。
ローリン・ヒル:実力ある歌手だったから
「天使にラブソングを2」でリサを演じた黒人のローリン・ヒル。
歌手になる夢を母親に反対され悩む女子高生リタ。
はじめはデロリスに反抗的な態度を取りますが、
やがて心を開き、合唱団で才能を発揮します。
「Joyful,Joyful」で素晴らしいソロパートを披露し、
一躍有名になりました。
すでに歌手として活躍していた
ローリン・ヒルは「天使にラブソングを2」に出演する前から
フージーズというヒップホップグループで活動していました。
このグループは後にグラミー賞を受賞するほどの実力あるグループでした。
ローリン・ヒルはその実力を発揮して、
実力でリタ役を勝ち取ったのでしょう。
リタ役後の活躍がすごい
リタ役で大ブレイクしたローリン・ヒルは、
その後も歌唱力とカリスマ性を爆発させ、
世界的シンガーとなります。
・1996年フージーズのアルバム「ザ・スコア」が全米アルバム・チャート1位を記録し、グラミー賞2部門を受賞。
・1997年に第1子を妊娠したのを機にソロ活動を開始。
・1998年ソロアルバム「ミスエデュケーション」は全世界で約2000万枚の売り上げを記録。
・ソロとしてグラミー賞で11部門にノミネートされ5部門を受賞。当時女性として史上最多記録。
このような伝説的なシンガーとなったローリン・ヒル。
リタ役として起用されたのは、
その才能を認められたからだったのでしょうね。
一時的に表舞台から姿を消していた時期もありますが、
現在はライブなどを中心に活躍されています。
プライベートではなんと6人のお子さんを出産。
すでに孫までいるおばあちゃんなんだそうです。
ライアン・トビー:才能ある歌手・俳優だったから
「天使にラブソングを2」でアマールを演じた黒人のライアン・トビー。
黒人の優位性を取り戻すことに情熱を燃やす一方で、
素晴らしい高音ボイスを持つ少年を熱演しました。
公開当時から
あの黒人の男の子は誰?
と話題になりました。
1,000人以上の応募者の中から選ばれた
1978年11月26日生まれのライアン・トビーは撮影当時15歳。
無名のシンガーでしたが、
オーディションを受けた1,000人以上も応募者の中から
見事アマール役を勝ち取ったのでした。
この時も、
黒人だからという理由よりは、
抜群の歌唱力が認められてキャスティングされたと言われています。
実力を認められて起用されたことは、
劇中の彼のパフォーマンスからわかります。
はじめは大きな声で歌うことができなかったアマール。
しかしデロリスの特訓により、
高音が出せるようになっていきます。
校内コンサートではソロを任され
「Oh,Happy Day」を熱唱。
歌唱テクニックの上手さに加えて、
その表現力の素晴らしさは多くの観客を魅了しました。
ホイッスルボイスを披露
アマールことライアン・トビーの歌の魅力は
「Oh,Happy Day」終盤で披露した
ホイッスルボイスです。
デロリスや観客を驚かせた高音部分ですね。
こちらの動画の1:23あたりの部分です。
ホイッスルボイスは超高音発声とも呼ばれ、
人間が発声できる最も高い声とされています。
歌声よりも笛の音に聞こえることから、ホイッスルボイスと呼ばれています。
ホイッスルボイスを出せる歌手として有名なのは、
マライアキャリーやMISIAが挙げられます。
ホイッスルボイスはかなり何度が高い発声方法なのですね。
素人はもちろん、プロの歌手でも出せる人は多くないそうです。
この美しいホイッスルボイスも、
ライアン・トビーの起用理由の一つと言われています。
ライアン・トビーはその後も活躍した
ライアン・トビーが才能を認められて起用されたことは、
「天使にラブソングを2」の後の活躍からも見て取れます。
本作をきっかけに、
・俳優
・ソウルシンガー
・音楽プロデューサー
として多彩な才能を見せたライアン・トビー。
・ウィル・スミスのアルバムの制作に携わり、「Miami」は2,000万枚のシングルヒットを記録
・City Highというグループを結成し、アルバムがグラミー賞にノミネートされる
・ジャスティン・ビーバー、メアリー・J・ブライジ、クリス・ブラウンなどへの楽曲提供
このような活躍をされました。
現在は地元の音楽学校で講師を務めるなど、
若手ミュージシャンの育成などを行っているそうです。
まとめ
今回は「「天使にラブソングを」に起用された黒人について
起用理由を調べてみました。
黒人だからという理由ではなく、
実力ある俳優、歌手だったから起用されたようです。
彼らの後の活躍ぶりを見ても、
抜群の歌唱力やカリスマ性があったことがわかります。
また彼らの劇中のパフォーマンスや演技を見たくなりますね。