PLUTOに登場するくまのぬいぐるみ。
アレクサンダー大統領と会話をする謎のテディベアの正体は、
限りなく人間に近い人工知能です。
今回はこのテディベアDr.ルーズベルトの疑問について
深掘りしたいと思います。
PLUTOの最終回のくまの正体はDr.ルーズベルト
トラキア合衆国のマザーコンピューター
アレクサンダー大統領が会話をする、
くまのぬいぐるみ「Dr.ルーズベルト」。
これはトラキア合衆国のマザーコンピューターです。
マザーコンピューターとは、
SF作品で登場する、すべてのものを統括するコンピューターのこと。
ゲジヒトなどハイテクロボットの人工知能の
数千倍もの容量を持つ非常に優秀なコンピューターです。
人間に限りなく近い人工知能を持っているとされています。
くまのぬいぐるみの端末を使って、
人間やロボットと会話をする仕組みになっています。
アレクサンダー大統領のブレーン
くまのぬいぐるみ「Dr.ルーズベルト」は、
アレクサンダー大統領のブレーンという重要な存在です。
ブレーンとは、「頭脳」「脳」という意味のほか、
政治の世界では「知的指導者」「政治家の相談役」
という意味もあります。
アレクサンダー大統領は、
常にDr.ルーズベルトの意見を参考に行動しています。
アメリカ大統領の名前をかけている?
本作は漫画連載当時のイラク戦争が反映されています。
- トラキア合衆国:アメリカ合衆国
- ペルシア王国:イラク
おそらくこのような関係を意識していると思われます。
くまのぬいぐるみの名前「Dr.ルーズベルト」からも、
アメリカを連想していることが伺えます。
おそらくアメリカ合衆国大統領の、
ルーズベルト大統領の名前がかかっているのでしょう。
・フランクリン・ルーズベルト:第32代アメリカ大統領
世界大恐慌の時にニューディール政策を行った大統領です。
・セオドア・ルーズベルト:第26代アメリカ大統領
アメリカ史上最年少の大統領として知られています。
さらに名前だけではなく
テディベア「Dr.ルーズベルト」には、
以下のように二人の大統領を連想させる要素があります。
「ブレーン」はフランクリン・ルーズベルトの政策がきっかけ
Dr.ルーズベルトはアレクサンダー大統領のブレーン(相談役)ですが、
このブレーンという言葉が使われるようになったきっかけは、
実はフランクリン・ルーズベルト大統領です。
ニューディール政策を行う際に、
金融関係の有識者を顧問団(相談役)とし、
アドバイスを求めました。
この有識者たちのことを、
「ブレーントラスト」と呼んだことから、
「政治家の相談役」「知的指導者」などをブレーンと呼ぶように
なったそうです。
アレクサンダー大統領の相談役がDr.ルーズベルトという名前なのは、
このような背景があるかもしれませんね。
「テディベア」はセオドア・ルーズベルトの愛称
テディベアの「テディ」は、
実はセオドア・ルーズベルト大統領の愛称からきています。
熊狩りに行ったルーズベルト大統領が、
瀕死の熊を撃ち殺さずに助けたという美談から、
お菓子屋さんがクマのぬいぐるみを作り、
「テディベア」と名付けたのが始まりと言われています。
Dr.ルーズベルトがくまのぬいぐるみ型なのは、
この話が関係しているのかもしれませんね。
Dr.ルーズベルトの目的は?
優秀なコンピューターであるDr.ルーズベルト。
可愛いテディベアの見た目とは裏腹に、
人間はロボットより下の存在という考えを持つ、
傲慢で残酷なロボットです。
大統領に助言をするというよりも、
大統領を意のままに操ると言ったほうが良いでしょう。
それではDr.ルーズベルトの目的は一体何なのでしょうか。
ロボットの時代を作ること
Dr.ルーズベルトの目的は、
ロボットの時代を作ることです。
そして自分がその頂点に君臨することが、
彼の望みなのでしょう。
そのためにはまず、
人間の時代を終わらせる必要があります。
劇中で明言されてはいませんが、
トラキア合衆国とペルシア王国に戦争をさせ、
人類滅亡へと導こうとした黒幕は、
Dr.ルーズベルトだと思われます。
最終回でボラーの暴走により、
地球上の全ての生物が滅びるという危機に陥ります。
この情報を聞いたDr.ルーズベルトは、
生物ではない自分たちは滅びない
と言い、
喜ぶ素振りを見せました。
人間が地球上から姿を消しロボットだけが生き残る
これはDr.ルーズベルトが望んだものだったのでしょう。
Dr.ルーズベルトのラストはどうなった?
最終回のラストで、
Dr.ルーズベルトはブラウ1589に殺されます。
この背景にはどんな流れがあったのでしょうか。
アトムがブラウ1589に頼んでいた
初めて人間を殺害したロボットであるブラウ1589は、
人工知能矯正キャンプの地下に、
身動きが取れない状態で隔離されていました。
アトムは、プルートゥ、ボラーとの最後の戦いを前に、
ブラウ1589に会いに行きます。
久しぶりだね、わが友よ
と喜ぶブラウ1589。
あなたに頼みがあって来ました
と言うアトム。
すると次のシーンで
テディベア「Dr.ルーズベルト」の姿が映し出されました。
その後、
君の頼みというのは承った
とブラウ1589が答えるシーンになります。
アトムが頼んだ内容は語られませんでしたが、
おそらく、
Dr.ルーズベルトを倒してほしい
と内容だったのではないでしょうか。
ボラーの脅威が去っても、
Dr.ルーズベルトがいる限りは本当の脅威は去ったと言えない
と、アトムはわかっていたのでしょう。
そしてDr.ルーズベルトを止めることができるのはブラウ1589だけ
ということもわかっていたのだと思います。
ブラウ1589がDr.ルーズベルトを殺した
サハド(プルートゥ)が自ら犠牲となり、
地球の危機が去ったことを知ったDr.ルーズベルトは、
ガッカリしながらも、
次の手を考えればいいさ
方法はいくらでもあるからね
と余裕の様子を見せます。
そこへブラウ1589がやってきて、
大統領を殺そうとします。
それを見たDr.ルーズベルトは
よく来たね、さあ共に始めよう、ぼくらの新しい世界を
とブラウ1589に協力を求めます。
しかし次の瞬間、
ブラウ1589は自分に突き刺さっていた槍を抜き、
Dr.ルーズベルトに投げつけます。
これによりDr.ルーズベルトは、
おそらく死んだ(破壊された)と思われます。
ブラウ1589はアトムとの約束を守ったのでしょう。
まとめ
今回はPRUTOの謎なくまのぬいぐるみ、
Dr.ルーズベルトについてまとめてきました。
トラキア合衆国のマザーコンピューターであり大統領のブレーン。
おそらく米国大統領の二人のルーズベルト大統領を
連想させるキャラクターだと思われます。
最後は彼の脅威を見抜いたアトムと、
アトムの頼みを聞いたブラウ1589によって、
破壊されたのでしょう。
本作ではあまり詳しい描写がないDr.ルーズベルトですが、
このような説を念頭に置いてみると、
納得できる点が多いのではないでしょうか。