浦沢直樹による「PLUTO」の元ネタは、
鉄腕アトムの「地上最大のロボット」です。
今回の記事では、
原作の内容や「PLUTO」との違いについてまとめたいと思います。





PLUTOプルートゥの元ネタは?
鉄腕アトム「地上最大のロボット」

出典:Amazon
PLUTOの原作は、
漫画誌「少年」にて昭和39年6月号~昭和40年1月号に連載された、
鉄腕アトムの第55話「史上最大のロボットの巻」です。
同じく漫画誌「少年」で連載していた「鉄人28号」に対抗するために、
ロボットバトル系のエピソードが作られました。
・人間のエゴで作られた戦闘ロボットのプルートゥ
・心優しいロボットのアトム
・世界各地にいる最強で個性的なロボットたち
これらのロボット達によるバトルは非常に完成度が高く、
鉄腕アトムの中でも人気の高いエピソードとして
ファンに愛されてきました。
この話が連載されていた時について、
作者の手塚治虫さんが、
描いていて一番楽しかった時期
と語っていたことは有名です。
テレビアニメ版でも3度放送されています。
プルートゥとアトムの物語

https://tezukaosamu.net/jp/character/2506.html
アラブ某国のサルタンは、
お抱え科学者のアブーラ博士に、
最強ロボット・プルートゥを作らせます。
そしてプルートゥが世界最強だと証明するために、
アトムを含む各国の最高ロボット7体の破壊を命じます。
戦うためだけに作られたプルートゥは、
命令に従い次々にロボットたちを破壊します。

そしてついに最後の1体となったアトムとの対決。
しかし突然阿蘇山の噴火が起きます。
噴火を食い止めるために、
大きな岩と積み上げるアトム。
プルートゥにも手伝うように言いますが、

自分は戦闘用に作られたロボット。
それ以外のことにエネルギーは使いたくない。
と拒否。
しかしアトムの健気な姿を見るうちに
プルートゥの中で何かが変化し、
アトムを手伝い一緒に噴火を食い止めます。
アトムと心を通わせたプルートゥは、
アトムと戦うことを拒否するのでした。

https://tezukaosamu.net/jp/character/3146.html
しかしそこに
ゴジ博士が作った最強ロボットボラーが出現。
プルートゥはボラーを倒し自らも命を落とします。
明かされる真実

https://tezukaosamu.net/jp/character/3146.html
実はボラーを作ったゴジ博士と
お抱え科学者アブーラ博士は同一人物。
アブーラ博士はサルタンから命じられ、
百万馬力のプルートゥを作りました。
しかしサルタンはプルートゥで他のロボットを倒し始めてしまいました。
そこでアブーラ博士はプルートゥを倒すために、
ゴジ博士として二百万馬力のボラーを作ったのです。
アブーラ博士は、
世界一のロボットは力ではありません。
アトムのように、たとえ十万馬力でも、
正しい心を持つロボットのことを言うのです。
とサルタンに言うのでした。
考えさせられる物語

https://tezukaosamu.net/jp/character/
「地上最大のロボット」は「PLUTO」のような複雑さはありません。
しかし「善(アトム)VS 悪(プルートゥ)」という
単純な物語でもありません。
ロボット達の戦いを通して、
善悪や本当の強さなど、
様々なことを考えさせられる物語でした。
最後にアトムはお茶の水博士に言います。

博士、どうしてみんな戦うのでしょう

力の強いものは、その強さを使ってどうしても威張りたくなる
しかし結局はその強さで、自分自身も滅んでいくんじゃよ
これは深い言葉ですね。
連載当時の1960年代には
斬新な物語だったのでしょう。
鉄腕アトムがなぜあれほど人々を熱狂させたのか、
改めてよくわかるエピソードでした。
PLUTOプルートゥの元ネタとの違いや表現は?
主人公

https://x.com/pluto_anime_?s=20
原作「地上最大のロボット」の主人公はアトムです。
鉄腕アトムシリーズの中のエピソードなので当然ですよね。
一方「PLUTO」の主人公は、
世界最高水準のロボットであるゲジヒトです。
原作では7体のロボットのうちの1体という扱いでしたが、
「PLUTO」では彼を中心に物語が展開します。
中盤で命を落とした後は、
アトムが主人公として描かれますが、
最終的にはゲジヒトの「憎しみからは何も生まれない」
という想いを引き継いだアトムが世界を救うので、
やはり主人公はゲジヒトだったと言えるでしょう。
世界最高水準ロボット7体のデザイン

https://tezukaosamu.net/jp/character/25.html
原作も「PLUTO」も見どころは、
個性的なロボットたちが登場するところです。
世界最高水準ロボットとされる7体のロボット。
名前は原作も「PLUTO」と同じですが、
デザインやキャラクター設定が少し違っています。
ゲジヒト

【PLUTO】
第39次中央アジア紛争に平和維持軍として参加。
ドイツで活動するユーロポール特別捜査官ロボット。本作の主人公。

https://tezukaosamu.net/jp/character/
【地上最大のロボット】
ドイツ一のロボット刑事。
アトム

https://x.com/pluto_anime_?s=20
【PLUTO】
第39次中央アジア紛争に平和維持軍として参加し、アイドルのように扱われた少年ロボット。
現在は日本で家族と一緒に暮らし、小学校に通っています。

https://tezukaosamu.net/jp/character/
【地上最大のロボット】
10万馬力の少年ロボット。本作の主人公です。
モンブラン

https://pluto-anime.com/character
【PLUTO】
第39次中央アジア紛争に平和維持軍として参加。
戦後はスイスの森林保護担当官ロボットとして活動。山岳ガイドや遭難者救助も行っています。

https://tezukaosamu.net/jp/character/
【地上最大のロボット】
スイスの山案内ロボット。
ノース2号

【PLUTO】
ブリテン軍の総司令官アンドリュー・ダグラス将軍のもと第39次中央アジア紛争に参加。
現在は音楽家ポール・ダンカンの執事ロボット。

https://tezukaosamu.net/jp/character/
【地上最大のロボット】
スコットランド北部の古城で自分を作った博士に仕えるロボット。
ブランド

https://pluto-anime.com/character
【PLUTO】
第39次中央アジア紛争に平和維持軍として参加。
現在は格闘技ロボットとして人気を集めています。

https://tezukaosamu.net/jp/character/
【地上最大のロボット】
トルコのロボット力士。
ヘラクレス

https://pluto-anime.com/character
【PLUTO】
平和維持軍として第39次中央アジア紛争に参加。
現在はブランド同様格闘家ロボットであり世界王者。

https://tezukaosamu.net/jp/character/
【地上最大のロボット】
世界最強と自認するギリシアの戦士ロボット。
エプシロン

https://pluto-anime.com/story
【PLUTO】
第39次中央アジア紛争への参加を拒否。平和主義を貫く優しいロボット。

https://tezukaosamu.net/jp/character/
【地上最大のロボット】
オーストラリアの孤児院で働く心優しいロボット。
このように7体とも大幅にデザインが変更されていますね。
当初は原作のデザインをそのまま使うつもりだったのですが、
PLUTOを監修した手塚治虫の息子である手塚眞さんが提案し、
オリジナルのデザインになったそうです。
プルートゥの設定

https://pluto-anime.com/story
原作のプルートゥは、
サルタンの命令によりアブーラ博士が作った最強ロボットです。
戦うためだけに作られたロボットなので、
命令に従い冷酷に他のロボットを破壊していきます。
一方「PLUTO」のプルートゥの設定はもっと複雑です。
もともとは兵士ロボットではなく、
緑化計画のために作られたロボットでした。

https://pluto-anime.com/story
しかし戦争が勃発したことで、
アブラー博士が兵士ロボットに作り変えます。
そして青年ロボットサハドの人工知能が入れられ、
最強ロボット・プルートゥが誕生したのです。
また原作ではプルートゥははじめから登場しましたが、
「PRUTO」では徐々に正体が明かされていきました。
このミステリー要素も違う点でしたね。
原作にはないオリジナルキャラクター

https://pluto-anime.com/story
「PLUTO」では、
原作にはない物語が複数展開するため、
オリジナルの登場人物もいます。
・サハド(アドラー博士の息子ロボット)
・ブラウ1589(殺人を犯したロボット)
・Dr.ルーズベルト(トラキア合衆国を裏で操る人工知能)
・ワリシー(エプシロンに引き取られたペルシア人少年)
・アドルフ・ハース(反ロボット主義者)
これらは「PLUTO」の重要なキャラクターですが、
原作には存在しません。
原作よりも大幅に物語が複雑化したことがわかりますね。
人間も殺される

https://pluto-anime.com/story
原作で殺される(破壊される)のはロボットたちだけでした。
しかし「PRUTO」では人間も殺されます。
世界最高の7体のロボットが殺される事件と並行して、
ボラー調査団の人間達が次々に殺されます。
この点からも、
「PRUTO」が原作より複雑化し、
ミステリー作品になったことがわかりますね。
まとめ
今回は、
浦沢直樹による「PLUTO」の元ネタについてまとめました。
鉄腕アトムの「地上最大のロボット」が原作ですが、
物語や登場人物など様々な要素が変わっています。
原作を知ってから「PLUTO」見ると、
さらに面白さが倍増するでしょう。