本作の主人公ゲジヒトは、
何者かによって操られた花売りロボットに、
殺されてしまいます。
彼はどうして殺されてしまったのでしょうか。
この記事では、
ゲジヒトが殺された理由や犯人について、
有力な説をまとめたいと思います。
【PLUTO】ゲジヒトはなぜ殺された?
考察①アドラー博士が殺した
1つ目はアドラー博士によって殺害されたという説です。
アドラー博士の命令により、
プルートゥが花売りロボットのモハメド・アリを操ったという解釈です。
ゲジヒトはロボット破壊事件を追っていた
ホフマン博士によって開発されたゲジヒトは、
「今までで一番強力な大量破壊兵器」と言われるほどの、
世界最高水準のロボットです。
ユーロポール特別捜査官ロボットとして活動しています。
彼は謎のロボット・プルートゥによって優秀なロボットたちが殺される
ロボット破壊事件の真相を追っていました。
そしてついに、
プルートゥの正体サハドの生みの親は、
ペルシア王国の科学者アブラー博士であることを突き止めます。
アブラー博士の計画とは
戦争で妻子を失い、
強い憎しみに突き動かされているアブラー博士。
青年ロボットのサハドにプルートゥの体を与え、
第39次中央アジア戦争に関わった世界最高水準の7体のロボットを
殺害するように仕向けていたのです。
プルートゥはアブラーの憎しみを継承し、
7体のロボットを破壊しようとしていました。
7体のうち、
- モンブラン
- ノース2号
- ブランド
- ヘラクレス
- アトム
この5体が殺されていて、
残りは、
- ゲジヒト
- エプシロン
この2体でした。
その後にエプシロンも殺されたことから、
ゲジヒトも他の6体と同じように
殺されたと考えることができます。
真相に近づいたことを知ったアブラー博士は、
その後すぐにゲジヒト抹殺に動いたのでしょう。
また、ゲジヒトが死んだ後のシーンで、
アブラー博士はプルートゥに、
エプシロンを殺すように言い、
エプシロンが最後の一体だ
あいつを殺せば全てが終わる
と言っています。
この発言からも、
アドラー博士がゲジヒトを殺したことが伺えます。
お茶の水博士も一連の事件と判断?
事件後のお茶の水博士とホフマン博士の会話の中に、
やはりゲジヒトは、ロボット破壊事件の犠牲者では?
ええ、ユーロポールも結論を出しかねています。
というやり取りがありました。
この会話からも、
他の6体と同じような理由で殺害された
という解釈ができる感じがしますね。
しかし、プルートゥに攻撃の意思はなかった?
ただしこの説には一つ疑問点があります。
ゲジヒトは殺される前、
プルートゥを追い詰めているのですが、
この時プルートゥはゲジヒトを攻撃せず、
ゲジヒトもプルートゥを攻撃しませんでした。
ゲジヒトはプルートウの正体であるサハドの悲しみを知り、
とどめを刺すことを拒んだのです。
もし他の6体のように、
アドラー博士の命令によりプルートゥがゲジヒトを殺したのであれば、
この時点で殺したでしょう。
また、
ゲジヒトが殺された現場には、
他のロボット破壊や殺人現場のような、
頭部に角を見立てたものが刺してある
というものも見られませんでした。
このような点を考えると、
ゲジヒトが他の6体のように
プルートゥの殺されたという説は、
信憑性が低いのかもしれません。
考察②ユーロポールが殺した
2つ目はユーロポールが黒幕という説です。
ユーロポール特別捜査官ロボットであるゲジヒトは、
・命令に背いた
・記憶偽装の真相を知った
この2つの理由から、
ユーロポールに敵視されたと思われます。
命令に背いた
プルートゥを追い込むことに成功したゲジヒト。
ユーロポールは、
破壊しろ!そいつを殺せば事件は解決だ!
の命令します。
しかしゲジヒトは、
破壊したくありません。
自分は攻撃の意思のないロボットを殺すように
プログラムされていません。
と抵抗し、
辞職したいと言い出します。
ベッカー部長たちは、
勝手な行動は許さんぞ!
お前の人工知能は故障している!
すぐにメンテナンスを受け諮問委員会に出頭せよ!
などと激怒します。
しかしゲジヒトは通信を遮断して
走り去るのでした。
記憶偽装の真相を知った
さらにゲジヒトはユーロポールとの言い合いの中で、
なぜ私の記憶を消したのだ!
と怒りとぶつけます。
もともとロボットは人を殺せないように
プログラムされているのですが、
ゲジヒトは過去に殺人を犯したことがありました。
殺人の理由は、
ゲジヒトの最愛の子供でした。
壊れかけの子供のロボットを引き取り、
ロビタと名付け妻と一緒に育てていたゲジヒト。
しかし反ロボット派のアドルフ兄により、
ロビタが殺害されてしまいます。
ゲジヒトは強い憎しみによりアドルフ兄を撃ち殺したのです。
しかし、
ロボットの殺人が世間に知れたら困るユーロポールは、
ゲジヒトの記憶から、
・ロビタの記憶
・アドルフ兄の記憶
など事件に関わる記憶を消去していました。
その後ゲジヒトは、
ロビタ似のモハメド・アリなどがきっかけとなり、
- アドルフ兄を殺害したこと
- ロビタの存在
などの記憶が蘇ってきていました。
ロボットの記憶を操作することは、
ロボット法に反することです。
これを秘密裏に行っていたことに、
ゲジヒトは強い怒りを感じていました。
制御不能になったから殺した?
記憶偽装の真相を知り、
命令に背き姿を消したゲジヒトに対し、
ユーロポールは脅威を感じたのでしょう。
このままでは真相を暴露されてしまうかもしれない
という恐れから、
ゲジヒトを抹殺したのではないでしょうか。
【PLUTO】ゲジヒトの言葉の裏にある意味や浦沢直樹の思いとは?
地球が終わっても、おまえを離さないぞ
消された記憶を取り戻したゲジヒト。
我が子ロビタと出会った時の記憶も
蘇ってきました。
廃材置き場で見つけた壊れかけの子供のロボット。
彼を店主から買い取ったゲジヒトは、
ギュッと抱きしめ、
地球が終わっても、おまえを離さないぞ
と言います。
このセリフは、
以前関わった事件の中で、
人間の親が子供に言っていた言葉でした。
ゲジヒトは人間の愛情を真似るために、
この言葉を使ったのでしょう。
そして徐々に人間と同じような愛情が芽生えたゲジヒトは、
大きな愛で子供を包みながら育てていくのでした。
憎悪からは何も生まれない
これはゲジヒトが最期に言った言葉です。
我が子を殺されたゲジヒトは、
非常に強い憎しみを持ちアドルフ兄を殺害しますが、
これにより、
アドルフが憎しみを持つという
悪循環が生まれてしました。
ゲジヒトは、
憎しみからは何も生まれないことを悟ったのでしょう。
ゲジヒトの言葉が世界を救った
ゲジヒトの死後、
プルートゥと対峙したアトムは、
殺された仲間の憎悪を力にして、
プルートゥを倒そうとします。
しかしここでゲジヒトの
憎しみからは何も生まれないよ
という言葉を思い出し、
プルートゥを殺さず共に涙を流しました。
その後、アトムの代わりに
反陽子爆弾を備えたボラーに立ち向かったのはプルートゥでした。
憎しみからは何も生まれない!
そう言ってプルートゥはボラーを倒し、
地球滅亡は回避されました。
ロボットが人類を越えた?
憎しみからは何も生まれないという言葉には、
作者の浦沢直樹さんの思いが詰まっていると思います。
人間の言葉を真似して、
人間の愛情を知ろうとしたゲジヒトでしたが、
最期には、
憎しみからは何も生まれないという
普遍的な悟りにたどり着きました。
そして、
アトムもプルートゥも同じように悟り、
それが人類とロボットを救ったのです。
ロボットたちはついに人間を越えたのです。
今も世界中で起きている憎しみによる紛争。
これをなくなるためには、
人間も彼らのように憎しみを克服する必要がある
というメッセージが込められているのでしょう。
まとめ
今回はゲジヒトが殺された理由や、
死の直前の言葉についてまとめてみました。
本作は多くを語らずに、
観る人に解釈をゆだねる部分が多い作品です。
今回ご紹介した内容を参考に、
様々な解釈をしてみてくださいね。