「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」は、
インディの助手ショート・ラウンドを演じた
アジア人の男の子が印象的でした。
彼は俳優として返り咲き、
エブエブで再ブレイクしたキー・ホイ・クァン。
どんな方なのか色々調べてみましたので、
ご紹介したいと思います。
「インディジョーンズ」アジア人男の子はキー・ホイ・クァン
難民としてアメリカに移住
1971年ベトナム・サイゴンで中国系一家の
9人きょうだいの7人目として生まれたクァン。
1978年のサイゴン陥落の時に、
家族でベトナムを脱出し、
香港を経由してアメリカへと移住しています。
アメリカにたどり着くまでには、
・全てを捨ててアメリカに渡った
・家族全員がアメリカに渡るために多額の借金をした
・きょうだいは母と父の2組に分かれ、違うボートに乗ってベトナムを脱出し
・父と一緒に香港の難民キャンプで1年過ごした
このような壮絶な経験をされたそうです。
アメリカを脱出してから1年後の1979年に、
やっと家族が一緒に生活できるようになったといいます。
「インディジョーンズ」少年役に大抜擢
ベトナム脱出から5年後の1984年、12歳の時、
クァンに転機が訪れます。
「インディジョーンズ/魔宮の伝説」の
アジア系の子役を探すためのオーディションが
ロサンゼルスのチャイナタウンで行われました。
クァンの弟がこのオーディションを受けたそうです。
しかしキャスティングの担当者は、
一緒に来ていたクァンをスカウト。
その後すぐに、
・監督のスティーブン・スピルバーグス
・プロデューサーのジョージ・ルーカス
・主演のハリソン・フォード
この3人と半日過ごし、
3週間後には撮影が始まったといいます。
まさにアメリカンドリームという感じですね。
クァンはその期待に応え、
インディと一緒に冒険を繰り広げる、
ちょっと生意気でかわいいショーティを
見事に演じ切りました。
「グーニーズ」でさらに大ブレイク
続く1985年には、
スピルバーグ監督制作の「グーニーズ」にもメインキャストで出演。
お騒がせな天才少年データを
生き生きと演じました。
・「インディジョーンズ/魔宮の伝説」
・「グーニーズ」
映画史に残るこの名作2作品に、
立て続けに出演したクァン。
世界中でアイドル的な人気を博しました。
役者を断念し裏方へ
10代にしてスターになったクァンですが、
その栄光は長くは続きませんでした。
その後いくつか映画に出演するも、
ハリウッドではアジア人俳優にチャンスは非常に少ない
という厳しい現実を思い知らされたといいます。
はじめは俳優を目指していたわけではなかったのですが、
どんどん役者の仕事に夢中になったというクァン。
しかし残念ながらその熱意を注げる機会は少なく、
俳優業を断念してしまいます。
それでも映画業界から離れたくないクァンは、
裏方として働く道を選択。
南カリフォルニア大学のフィルムスクールで勉強し、
・助監督
・武術指導
・通訳
などとして、
映画に携わり続けました。
巨匠のもとでキャリアを積む
クァンは裏方に徹しながらも、
巨匠のもとで着々とキャリアを積みました。
ウォン・カーウァイの助監督:「2046」
ユン・ケイ監督のアシスタント:「X-MEN」「ザ・ワン」
このような作品に関わったそうです。
2004年公開の「2046」は、
木村拓哉さんがメインキャストを務めた作品です。
クァンはこの時キムタクの通訳も務め、
ウォン監督の広東語を、
英語でキムタクに伝えていたそうです。
表舞台から姿を消していたクァンですが、
俳優とは別の形で映画に携わっていたのですね。
映画作り全体を理解できるようになった
「ハフポスト」のインタビューでは
この時の経験を振り返り、
・映画学校に行ってはじめて、映画制作に関わる全てのことを学び、感謝できるようになった
・それまでは俳優の目線でしか見ていなかったと気づかされた
・今は撮影現場で俳優だけでなく、すべての人が見えるようになった
・映画作りのプロセスすべてを詳細に理解できるようになった
このように語っていました。
スター子役から一変し裏方スタッフになったことには、
さまざまな苦悩があったでしょう。
しかしその経験は、
彼が返り咲くためには必要なプロセスだったのでしょうね。
子役から順調に大人俳優にシフトしていたら、
後述する「エブエブ」のような大成功はなかったかもしれませんね。
「エブエブ」で見事返り咲く
アジア系俳優としての限界を感じ、
役者を断念したクァン。
しかし、アジア系が活躍するハリウッド映画、
「クレイジー・リッチ!」(2018年)の大ヒットに感化されて
再び役者として挑戦することを決意。
そんな彼にめぐってきた役が、
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(2023年)の
主人公エヴリンの夫、ウェイモンド役だったのです。
この役には、
・広東語、北京語、英語を話すことができる
・ユーモアな演技ができる
・シリアスな演技ができる
・戦闘シーンをシリアスに演じられる
・優しい人柄も演じられる
このような多彩な要素が要求されたため、
キャスティングに難航していたそうです。
監督のダニエル・クワンは、
そんな人はいないな
と思ったと、後に明かしています。
そんな中たまたま監督が目にしたのが、
「インディジョーンズ」のショート・ラウンドの写真でした。
彼は今、なにをしているんだ?
と思いオーディションに呼んだところ、
クァンに惚れ込んでしまったといいます。
もう一人の監督であるダニエル・シャイナートは、
ハリウッドに対して「こんなにも素晴らしい才能を持った人を、
あなたたちは何十年も放っておいたんだ」と言いたい
と熱く語っていました。
本作で約30年ぶりに俳優として復帰したクァンは、
アカデミー賞の助演男優賞をはじめ、
2023年の映画賞レースを総なめにし、
見事なカムバックを果たしたのでした。
インディジョーンズと38年ぶりの再会
俳優復帰したクァンは、
2022年10月「D23 ExPO 2022」というイベントで
インディを演じたハリソン・フォードと再会し、
大きな話題となりました。
スタッフからハリソンに挨拶したいか聞かれたクァンは、
もちろん!
と答えるも、
僕のことがわかるだろうか
と、すごく緊張したといいます。
そして38年ぶりの再会の瞬間。
はじめは気難しそうな顔をしたハリソン。
クァンはファンの一人だと思われ、
「近づくな」と言われると確信したそう。
しかし次の瞬間、
ショート・ラウンドか?
おいで
と言って抱きしめてくれたのです。
クァンはこの時、
当時の記憶が溢れてきた語っていました。
こちらがその時の写真です。
とても幸せそうなお二人の表情に、
見ているこちらまで、
幸せな気分でいっぱいになります。
こちらは38年前のお二人。
この頃以来の再会ということで、
お二人ともこみ上げるものが
あったでしょうね。
そしてハリソンもクァンも
とても素敵な年の重ね方をされていますね。
お二人ともかっこいい!
まとめ
今回は「インディジョーンズ/魔宮の伝説」の
アジア人の男の子キー・ホイ・クァンについて
調べてみました。
ベトナムから難民としてアメリカにやってきた彼は、
子役として成功をおさめ、
さらに役者を断念した後、
見事なカムバックを果たしました。
まさに映画のような彼の人生に、
これからも注目していきたいですね。