Netflix映画「終わらない週末」は謎が多いスリラー作品です。
特にラストの展開について、
敵の正体やローズの選択の意味など、
わかりにくい部分も多かったでしょう。
この記事では結末について詳しく解説したいと思います。
終わらない週末ネタバレラストの展開は?
ラストの展開①敵の正体
本作の恐ろしさは、
何が起こっているかわからない
という状態で物語が展開するところです。
・アラビア語で「アメリカ死を」と書かれたビラが大量にばら撒かれてい
・サバイバリストのダニーが北朝鮮か中国の仕業だと断言
このような状況から敵国からの攻撃のように思われました。
しかしGHが真実を語り出したことで、
敵の正体が判明します。
それは「クーデター」でした。
政府を内部から崩壊させる三段階の作戦
金融業界で働いていたGHは、
顧客の中には国家の防衛部門の幹部がいました。
彼が恐れていた作戦が、
政府を内部から崩壊させる簡単な三段階の作戦でした。
第1段階:隔離
サイバー攻撃ですべての通信と交信を無効にする
ネットが遮断され何もできなくなった
アマンダ一家の状態ですね。
これが上手くいったら次の段階に移ります。
第2段階:カオスの同時多発
隠密作戦と誤報で恐怖に陥れ、
兵器システムを弱体化し、
過激派や軍が侵入しやすくする
この段階で、
明らかな敵が見えない市民は、
互いに敵視するようになってきます。
アマンダはGHを、
ダニーはクレイを、
それぞれ警戒し緊張状態が続いていました。
GHによると、
この状態までくるとあとは自然に次の段階になるそうです。
第3段階:クーデター
自然と内戦が起き崩壊する
つまり第1~3段階において
国民自身に自分たちの国を崩壊させる
という恐ろしい作戦なのです。
敵の正体は結局わからない
GHの話によると、
クーデターによる内戦が起きていると解釈できます。
ところが、
・「アメリカに死を」と書かれたビラは誰がまいたのか
・大量に迫りくる鹿たちの目
・アーチーの病気の原因
このような部分は回収されずに終わりました。
そのため、
・他国による攻撃
・動物たちによる攻撃
・人類以外の何者かの攻撃
などさまざまな解釈の余地を残しています。
GHは作戦内容として「誤報によって人々を恐怖陥れる」
と言っています。
もしかしたら「クーデターが原因」という情報も、
GHがあえて発信した誤報かもしれませんね。
敵の正体はわからないままで良い
おそらく本作における敵の正体は、
観る人が自由に解釈すれば良いのでしょう。
サム・エスメイル監督は
原作を読んだ際に、
人は災害や危機によって容易に人間性を失っていく
ということに感銘を受けて
映画化したいと思ったそうです。
本作が描きたい部分は、
災害や危機によって失われていく人間性
であり、
誰が敵か
ということではないのでしょう。
犯人捜しのミステリーではなく、
心理的な部分を紐解くミステリーなのですね。
ラストの展開②ローズの選択
本作のラストで大事なことは、
「敵が誰だったか」よりも、
最後にローズがとった行動ではないでしょうか。
一人で外に出たローズ
自転車に乗って姿を消したローズ。
アマンダたちが必死に探していた時、
ローズは防空壕のあるソーンズの家にたどり着いていました。
大量の食料を見つけて食べていると、
アマンダが「ローズ!」と呼ぶ声が聞こえてきました。
しかしローズは母の声に反応せず階段を降りていきます。
そしてその先に地下シェルターを見つけます。
そこには大量の食糧と大量のDVDがありました。
ローズはずっと見たがっていた
大好きなドラマ「フレンズ」のDVDを発見。
ローズはDVDをセットし、
そうしても観たかった最終回を再生し、
笑顔を浮かべるのでした。
母の呼び声に反応しなかったローズ
母の声を無視して、
地下のシェルターに行く選択をしたローズ。
普通なら自分を必死に探している母に
居場所を教えるはずですよね。
このローズの行動には、
おそらく「鹿」が関係しているでしょう。
鹿のメッセージを受け取っていたから?
アマンダ一家が別荘に来てから、
たびたび姿を見せていた鹿たち。
この鹿は、
神からのメッセージを伝える存在
だったのではないでしょうか。
鹿は古くから神の使い手とされてきました。
奈良の鹿たちも天然記念物として手厚く保護されていますよね。
黙って鹿を見つめていたローズに対し、
アマンダは大声で鹿を威嚇して追い払っていました。
ローズ以外の人は鹿のメッセージを理解しようと
していなかったのです。
そんな大人たちの姿を見ていたローズは、
アマンダのもとに戻るよりも、
一人で安全な場所を探すことにしたのでしょう。
ラストの展開③フレンズの意味
ドラマ「フレンズ」にハマり中のローズは、
週末旅行が始まった時から、
最終回を観たいと言い続けていました。
どんどん異常な状況に陥っても、
ローズの「フレンズの最終回が観たい」
という気持ちは変わりませんでした。
兄のアーチーは、
こんな時に何を言ってるんだ
と苛立ちますが、
ローズは最後までフレンズ最終回にこだわります。
そしてついにラストでフレンズを見て笑顔になるのでした。
終末にはエンタメが必要
「終わらない週末」というタイトルは、
週末旅行のはずがアメリカの終末に陥ってしまう
という意味が込められているのでしょう。
週末の楽しみに欠かせない映画やドラマなどのエンタメ。
しかしこのエンタメは、
“週末”だけでなく“終末”にこそ、
力を発揮するのではないでしょうか。
コロナ禍の異常事態が続く中、
Netflixで映画やドラマに、
精神的な安らぎを求めた方は多いでしょう。
劇中でローズが言う、
大変なときにこそ「フレンズ」のような精神の安らぎが必要
という言葉に共感できた方は多いはずです。
ただし、
ネットが使えなくなり、
結局最後はアナログなDVDに救われたというラストは、
本作がNetflixオリジナル作品であることを考えると、
皮肉な展開ではありますね。
動画配信サービスの限界を示したかったのでしょうか。
ラストの展開④アマンダたちはどうなったのか
アマンダの声を無視して一人で防空壕に行ったローズ。
無事に「フレンズ」を観ることができた
という彼女なりのハッピーエンドで終わりますが、
アマンダたちはどうなったのでしょうか。
おそらくアマンダとルースも、
クレイ、GH、アーチーたちも、
最後はソーンズ家に集まり、
防空壕でローズに合流したのだと思います。
アマンダはソーンズ家のすぐ近くまで来ていましたし、
クレイたちも防空壕にあるソーンズに向かっていました。
防空壕には大量の食糧があり、
生活するための設備も完備されていました。
きっと彼らはしばらくの間、
生き延びることができるはずです。
その後にどうなるのかは、
観客がそれぞれの解釈をすれば良いのでしょう。
サム・エスメイル監督は、
人生と同じように、
私たちは常に曖昧さと直面しなければなりません。
れは原作小説のテーマであり、
私が映画でやりたかったことなのです。
簡単な答えや解決策はありません。
インタビューでこのように語っています。
監督は敢えてシンプルな答えを出さずに、
観客に答えをゆだねたのですね。
まとめ
今回は「終わらない週末」のラストについて、
敵の正体はローズの選択、
フレンズの意味などを考えてきました。
本作には明確な答えがなく、
曖昧な部分が多いです。
それは監督の意図したことだったようです。
ラストについても、
観客自身が納得できる答えを
導き出す必要があるでしょう。