2022年にWOWWOWで放送され、2023年11月にNetflixでも配信が開始されたTOKYO VICE.
TOKYO VICEは実話であり、実話でない部分があるというのです。
モデルとなったジェイク・エーデルスタインの過去も一緒に事実の部分をまとめていきます。
TOKYO VICEは実話だった
20年前の日本のヤクザ状況をリアルに描いている
HBOとWOWOWの日米共同制作で史上初の超大作ドラマ・シリーズのTOKYO VICE。
1999年の東京を舞台に、警視庁のベテラン刑事に連れられヤクザが支配する暗黒世界に足を踏み入れた
若きアメリカ人新聞記者を描くストーリー。
本人いわく、山口組系後藤組組長後藤忠政の米国での肝臓移植手術に際して
FBI取引の件をすっぱ抜こうとしたことを後藤組に察知され、
のちに示談の場で脅迫を受けたことから読売新聞社を退社し帰国した・・・という内容でした。
これは実際にあった話をもとにして作成されています。
しかし本作と現実の部分で異なる部分が数点確認できました。
彼の回想録によれば、2008年5月から5年間彼は警視庁の保護下にあったといいます。
いうまでもなく後藤組の襲撃から身を守るためです。
アメリカ人記者という設定は本当だった
東京の危険な闇社会へと入り込んで行く警察担当の新聞記者を、
原作となる同名の回想録を書いたのはジェイク・エーデルスタインという男性。
1992年に欧米人として初めて読売新聞の社員となっています。
その後12年間読売新聞で社会部に所属し、日本の暴力団を徹底的に12年間取材した記者です。
モデルはジェイク・エーデルスタイン
モデルとなった(原作者)ジェイクは、登場人物については
暴力団の報復を避けるために登場人物の名前や国籍は変えてある
としています。
ただ、概ね本当のことを起きたままに書き綴っているともインタビューで答えています。
当時スーパー円高だったにも関わらず日本への留学ができたのは、
交換留学のプロジェクトがあったからだそうです。
来日後に上智大学で日本文学を学び、
優秀だったためSONYの内定も持っていたとか。
本編通り外国人差別は激しかったようですが、
それよりもヤクザ×東京も面白さにのめり込んでしまったとのことです。
ヤクザのファンマガジンなども当時は出ていたそうで、裏社会なのにファンがいるという
不思議な感覚がたまらなかったんだとか。
数千冊のヤクザマガジンを持っているというファンに近いジェイク。
義理堅さとか礼儀正しさ、我慢強さなどの日本男性の魅力はそのままヤクザの魅力として描かれてるけど、
現実はそうでもない気がします。
と話されているくらい実際のヤクザと近い存在だったのでしょうね。
ハリウッドレポーターがジェイクの証言やつじつまに疑いを持つ
2022年4月、『Tokyo Vice』の放映開始に合わせて、米国のハリウッド・リポーター誌が彼に取材しています。
出来上がった記事は
『Tokyo Vice』の原作を事情通がこき下ろす
という内容の記事でした。
記事では、以下の内容が疑問視されていました。
- エーデルスタインはほんとうに合気道の技を使って巨体の用心棒を倒したのか?
- ヤクザのスナイパーにつけ狙われたのか?
- 女に札束を投げつけられて性的な奉仕を要求されたのか?
このような疑問を投げつけていました。
このリポーターがジェイクに2時間以上に及ぶインタビューをした中で、
話が二転三転してしまうことがあったため、話に信憑性がないのでは?という結論に至ったそうです。
一緒に仕事をしたことのある情報筋は、彼の突飛な冒険のいくつかは、単にカラフルで現実よりも壮大なものから、「誇張された」、または単に「フィクション」にまで及ぶと評価しています。
引用元 ザ・ハリウッドレポーター インサイダーが『トーキョー・バイス』の裏話をBSに電話
同期から指摘された事実と異なる内容
辻井さんは記憶をたどりながら事実と異なるであろうことを
インタビューで答えられていました。
- 読売新聞は体育会系の会社だったが乱闘などはなかったのではないか
- エーデルスタインのいうおとり取材はなかったのではないか
同期のティンティンは存在するがあだ名はなかった
洒落たスーツを着こなすフランスびいきの同僚記者が登場するが、
これはジェイクと同時に読売新聞浦和支局に配属された
辻井南青紀(つじいなおき)さんがモデルになっています。
ドラマ内では
ティンティン
と呼ばれていた人物です。
現在は小説家となり、京都芸術大学で教鞭も執る辻井さん。
誰も私のことをフレンチーとは呼ばなかったし、新聞記者はみんな特徴のないスーツを着ていた
と語っています。
ただ、辻井さんはヤクザからの報復や脅迫に負けず真実を追い求めたジェイクに対し
普通は脅されたり怖い目に遭ったら、あんなに取材なんかできないよ
と賞賛の言葉を送っています。
監督的には事実と異なっていても問題ない
『トーキョー・バイス』のエグゼクティブ・プロデューサーである、
ジョン・レッシャーはインタビューでこう答えています。
アデルスタインが真実を語っているかどうかという問題は重要ではない
この番組は単にこの本から「インスピレーションを受けている」だけだからだ。
作品の完成度が高ければ、事実かどうかはさほど重要ではなかったのでしょうね。
まとめ
TOKYO VICEのVOD配信がはじまり、その内容の衝撃さに
現実におきた話かどうか気になる声が多くありました。
モデルとなったジェイク・エーデルスタインは、実在していましたが
当時の環境や行動・言動では異なる部分もあったのでは?と指摘されていました。
しかし作品のプロデューサーは事実かどうかは問題視していないということでしたね。
大筋の内容はあっているため、20年前の日本の背景など興味深く見ることができる作品でした。