「フェイブルマンズ」で
自伝的な物語を描いたスピルバーグ。
彼は何人なのか、
両親はどんな人なのか、
スピルバーグのルーツについて
調べてみました。
スピルバーグは何人?
ユダヤ系アメリカ人
スティーヴン・スピルバーグは
ユダヤ人ではありますが、
アメリカのオハイオ州で生まれています。
スピルバーグのご両親も
ユダヤ人です。
いじめられていた少年時代
スピルバーグは
ユダヤ人であることで、
少年時代はいじめられていたそうです。
「T: The New York Times Style Magazine日本版」では、
このようなことを語っていました。
アリゾナ在住の頃は反ユダヤ感情に接することはなかったのですが、
北カリフォルニアに引っ越してからは、
高校時代を通じてひしひしと感じていました。
高校の友人たちは、
わざと大きな声で
おい、スピルバーグ!
と呼んだと言います。
スピルバーグはユダヤ系らしい名前であるため、
それが学校中に響くのが
とても気になったいたといいます。
カメラは人の気を引く道具だった?
少年時代から8ミリカメラで
撮影をしていたスピルバーグ。
ユダヤ人ということでいじめられていた彼にとって
そのカメラは、
学校の人気者のご機嫌を取るための
道具でした。
彼らをかっこよく撮影し、
気に入られることで、
自分の居場所を見つけようとしていたそうです。
映画を撮りたいという気持ちも、
もちろんありましたが、
仲間に溶け込むための道具
でもあったそうです。
ホロコーストを描いた「シンドラーのリスト」
スピルバーグの代表作である
「シンドラーのリスト」は、
第2次大戦時中にユダヤ人を救った
ドイツ人起業家の実話を描いた映画です。
ホロコースト時代の差別や迫害、
強制収容所でのユダヤ人の姿を描き、
世界中に衝撃を与えました。
スピルバーグはユダヤ人ですが、
アメリカに生まれのため、
ホロコーストを経験していません。
しかしホロコーストで亡くなった親戚が
たくさんいたそうです。
「シンドラーのリスト」は彼らのために
作った映画だと語っていました。
本作は世界中から高い評価を受け、
スピルバーグの大きな励ましになったといいます。
第66回アカデミー賞では12部門にノミネートされ、
作品賞と監督賞を含む
7部門で受賞しました。
2018年にリバイバル上映された
2018年12月7日、
「シンドラーのリスト」公開から25年を記念して
アメリカとカナダでリバイバル上映されました。
スピルバーグは、
米国NBCのインタビューで
1993年に上映された当時よりも、
現代のほうが人種差別やヘイトスピーチなど問題が多く、
いずれホロコーストのようなことに繋がりかねない。
現代こそ、もっとこの問題について考えなければならない。
と語りました。
「フェイブルマンズ」で再びユダヤ人を描いた
「シンドラーのリスト」は
ポーランドの都市クラクフが舞台でした。
それから30年後、
スピルバーグは
僕自身のアメリカでユダヤ人家庭を描いてみたい
と考えるようになり、
自伝的映画「フェイブルマンズ」
を作りました。
当時のユダヤ人の扱いをリアルに描く
本作の主人公サミーは
スピルバーグ自身を反映しています。
高校生のサミーは、
ユダヤ人ということでいじめられます。
これはスピルバーグの実体験が
もとになっているそうです。
クラスメイトから
ユダヤ人はキリストを殺したんだろ
と言われるシーンが印象的でした。
これはアメリカではよく言われた
ユダヤ人への偏見の言葉なんだそうです。
高校生までが
このような言葉を軽々しく言うところに
怖ろしさを感じました。
ユダヤ人のスピルバーグが
自分の実体験をもとにしているということで、
とても重みのあるシーンでした。
ベルリン映画祭で称えられる
スティーヴン・スピルバーグ監督は、
2023年2月にドイツで開催された
第73回ベルリン国際映画祭にて
名誉金熊賞を受賞しています。
受賞スピーチでは、
この栄誉は、私がユダヤ人監督であることから、
特別な意味をもっています。
と語りました。
さらに、
ドイツ国民は、自国の歴史について読み、
ホロコーストの前兆となる反ユダヤ主義、偏見、外国人排斥に関する
教訓と向き合おうとしていることがわかります。
と、ドイツの姿勢についても述べました。
スピルバーグの両親はユダヤ人?
父も母もユダヤ人
スピルバーグの両親もユダヤ人です。
母リアは2017年に97歳に死去、
父アーノルドは2020年に103歳で死去しました。
父は優秀なエンジニア
父親アーノルド・スピルバーグは
優秀なエンジニア。
もともと電気技師でしたが、
コンピューターエンジニアへと転身。
初のコンピューター制御式
「オーダーエントリーシステム」のキャッシュレジスター
の開発に貢献したすごい人物です。
スピルバーグは、
iPadやゲーム機などを見るたびに
父と天才チームがはじめたものだ
と思うそうです。
母はピアニスト
ピアニストだったという母リア・アドラー。
スピルバーグは母親のことを、
ピーターパンのような人と表現しています。
夢を追いかける女性で
いつも歌って踊っていたそうです。
技術者と芸術家の良さを受け継いだスピルバーグ
スピルバーグの両親は
父:理論に従って物事を進める静かな男性。一つのことに熱中する性格。
母:自由奔放で芸術的センスのある女性。
このように正反対とも言える性格だったそうです。
スピルバーグはそんな両親の
良いところを受け継ぎ、
素晴らしい映画監督になったのでしょう。
両親は非ユダヤ人の居住区で子育てをした
スピルバーグは両親と3人の妹の6人家族。
正統派ユダヤ教の家だったといいます。
父の仕事の都合で
引越しが多い家族だったそうです。
そして両親は非ユダヤ人の居住区で
子ども達を育てようとしたといいます。
そのため、
近所の子ども達からは
ひどいいじめを受けたことを明かしています。
きたないユダヤ人
と、家の外で叫ばれたり、
小銭を投げつけられるなど
屈辱的な経験をしたそうです。
両親の離婚がスピルバーグ作品に影響している
スピルバーグの両親は離婚しています。
「週刊NY生活ウェブ版」のインタビューの中で、
スピルバーグは両親の離婚について触れています。
16歳の時に撮影したフィルムに、
偶然母と母の恋人が写っているの見つけ、
母の浮気を知り打ちのめされたといいます。
その後、両親は離婚しますが、
若かったスピルバーグは、
深く傷ついたそうです。
この時の心の傷は、
スピルバーグ作品に影響を及ぼしています。
父親不在の物語が多い
スピルバーグ作品では、
家庭を顧みない父親がたびたび描かれています。
「未知との遭遇」のロイは妻子を捨てて宇宙船で旅立つ
「E.T.」のエリオットの父親は妻子を捨てて他の女性とメキシコへ行ってしまう
どちらの作品でも、
家族を捨てる父親の姿が描かれています。
これはスピルバーグが両親の離婚で感じた
辛い経験が反映されているのでしょう。
「A.I.」では母の愛情を求める少年ロボットを描く
2001年のスピルバーグ作品「A.I.」は、
少年ロボットが母親の愛を求める姿が
描かれた作品です。
母親に捨てられた後も
母親に愛されるために長い旅に出るロボットの姿に
胸が傷む物語なのですが、
これもスピルバーグの
母親に対するトラウマが影響しているのでしょう。
まとめ
今回はスピルバーグがユダヤ人であること、
さらに両親がどんな人なのかについて
お伝えしてきました。
このような事実を知ってから
スピルバーグ作品を観ると、
より深みのある内容であることがわかるでしょう。