「千と千尋の神隠し」で両親が食べている、
ぶよぶよとした不思議な食べ物。
この食べ物の意味は?
など気になっている方も多いでしょう。
この記事では、この謎の食べ物の意味やモデルについて
ネット上の情報を参考に考察していきたいと思います。
千と千尋の神隠しに出てくる食べ物の意味を考察
神様をもてなすための料理
不気味なトンネルを通り抜け、
美味しそうな匂いに誘われた千尋の両親。
誰もいない異世界の屋台には大量の美味しそうな料理が。
その中でも特に美味しそうだったのが、
お父さんが食べていた丸くぶよぶよした食べ物。
この食べ物は神々をもてなすための料理でした。
湯婆婆は千尋に
それなのにお前の親はなんだい!
お客様の食べ物を豚のように食い散らして。
当然の報いさ。
と言うシーンがあります。
疲れを癒すために油屋を訪れたお客様(神様)のために、
用意された料理だったのですね。
人間に対する罠
この食べ物は神様のための料理というだけでなく、
人間に対する罠という意味もあるでしょう。
このぶよぶよの食べ物を食べた両親は、
その報いとして豚に変えられてしまいます。
おそらく千尋が助けなければ、
豚になった両親は食用にされたのでしょう。
美味しそうな匂いと、
一度食べたらやめられない美味しさ。
この食べ物に魅了されてしまった人間は、
食べる側(人間)から食べられる側(豚)にされてしまうという
恐ろしいものだったのですね。
ブルブルンにこだわって描かれていた
このシーンの原画を担当したアニメ監督の米林宏昌さんは、
Twitterで、
原画より3倍くらいブルブルンに修正された
と明かしています。
宮崎駿監督は原画を書き直すことがよくあるそうです。
このぶよぶよの食べ物も、
より美味しそうにそして不気味に見せるように、
プルンプルンに修正したのでしょう。
その狙い通りかなりのインパクトがありましたね。
バブル風刺を描くためのアイテム
本作には、
バブル社会を経験した世代への風刺が込められています。
2001年に公開された本作は、
バブル終焉期に作られました。
千尋の両親はバブル期の恩恵を受けた世代でしょう。
日本中が好景気に沸き、
お金さえあれば欲しいものが何でも手に入る時代。
そんな時代に生きた両親は、
帰ろうよ、お店の人に怒られるよ!
という千尋の言葉も聞かずに、
勝手に料理を食べてしまいます。
お母さんは、
いいわよ、そのうち来たらお金払えばいいんだから
お父さんは
大丈夫、カードも財布も持ってるし!
と言います。
お金があれば大丈夫という意識の強さが伝わってきます。
このような意識のままでいると、
食べる側から食べられる側に堕ちてしまうぞ
ということを言いたかったのではないでしょうか。
そのためのアイテムとして、
インパクトのあるぶよぶよの食べ物を登場させたのでしょう。
神話がベースになっている
この食べ物の意味には、
神話がベースになっているという説もあります。
本作は公開から18年を経て2019年に中国で公開されました。
この時に中国メディアの新京報が、
ある神話研究者が解説した文章を掲載しています。
同作品は東洋や西洋の古典的な神話における
「禁忌」というモチーフにまで言及している
と指摘しています。
その禁忌として挙げられていたのが、
ぶよぶよの食べ物など両親が勝手に食べた料理です。
異世界の食べ物を食べたために豚に変えられてしまった
というような食べ物にまつわる禁忌は、
世界各国の神話に登場するというのです。
【ギリシャ神話】
冥界に連れ去られた女神・ペルセポネが、
父大神・ゼウスによって地上へ送り返されようとするが、
冥界のザクロを食べさせられたために、
「冥界の食べ物を食べた者は冥界に属する」という掟により、
1年の3分の1を冥界で過ごすことになってしまう。
【中国の「浚儀王氏」】
義母の葬式で誤って棺桶の中に入り込んでしまった男は、
たどり着いた冥界で死者らのごちそうに手を伸ばす。
しかし「人間は幽霊の食べ物を食べてはならない」と遮られたおかげで、
無事に生きて戻ることができた。
【日本の「古事記」「日本書紀」】
黄泉の国へ去ったイザナミが、
追ってきたイザナギに対し
「私はすでに黄泉の国の食べ物を口にしたので、
黄泉の国の神からの同意がなくては元に戻れない」
と言う場面がある。
このように、
自分の属する世界と異なる世界の食べ物を食べるとそこから戻れなくなる
というニュアンスの神話が多く残されているそうです。
茶碗に山盛りにしたご飯に箸を一本立てた
故人にお供えする「枕飯」もその一つと言えます。
生きている人は「枕飯」を食べてはいけません。
もし食べてしまったら、
故人のいるあの世の側に行ってしまうことになるからです。
本作のぶよぶよの食べ物にも、
このような神話の要素が込められているのかもしれません。
【考察】千と千尋の神隠しに出てくる食べ物のモデルは?
肉圓がモデル?
このぶよぶよの食べ物のモデルは、
台湾料理の肉圓(バーワン)ではないか
と言われてきました。
バーワンは、
本作のぶよぶよの食べ物と似ているということで、
ジブリ飯とも呼ばれていたそうです。
しかしかなりユニークな見た目と食感であるため、
台湾在住の日本人でも苦手な人がいるそうですよ。
ぷるぷるした感じが似ていますね!
シーラカンスの胃袋説が浮上!
ジブリ飯とまで言われた肉圓でしたが、
2020年、実は他にモデルがあったことが判明。
そのきっかけは、
アニメ映画監督米林宏昌さんのツイートでした。
米林さんは本作の原画を担当しています。
ツイッターの投稿の中で、
長編の原画初だったので緊張したエピソードなどを明かした後、
お父さんが食べてるブヨブヨした食べ物は
シーラカンスの胃袋と絵コンテに書いてありました
という内容を投稿。
謎の食べ物の正体はシーラカンスの胃袋だったのか!
とネット上で話題になり、
「シーラカンスの胃袋」はツイッター上でトレンド入りしました。
この謎の食べ物のモデルは長年論争されてきたたため、
ついに正体が分かったことで、
スッキリしたジブリファンは多かったようです。
結局よくわからない
ところが米林さんのツイートに対し、
過去に公開された絵コンテ集には、
シーラカンスの胃袋は載っていなかった
子羊の胃袋ではないか?
などの指摘が上がりました。
こちらの絵コンテには、
まるでトロトロの子羊の胃袋のよう
と書かれていますね。
これに対して米林さんは、
どうやら絵コンテには書いてないようです
宮崎監督が描かれたレイアウトに書いてあったのかなあ?
と投稿。
さらに、
こんなに話題になるとは・・・
確たる証拠もないしただの僕の記憶でしかないですよ
「シーラカンスの胃袋という説も・・・?!」
くらいに考えといてもらった方が
ロマンがあっていいでしょう?
と投稿しています。
おそらく米林さんは軽い気持ちで、
「シーラカンスの胃袋」発言をされたのでしょう。
予想外に大きな話題になってしまい驚いたようですね。
絵コンテ:子羊の胃袋
米林さんの投稿:シーラカンスの胃袋
ということで、
胃袋をイメージした食べ物であることは確かのようですね。
子羊の胃袋は食用とされていますが、
普段あまり食べる機会はないでしょう。
シーラカンスの胃袋については、
食用の情報は見つかりませんでした。
どちらにしても、
普段食べることがない不思議な食べ物
ということで、
現実世界のものではない不思議な雰囲気が感じられますね。
まとめ
今回は「千と千尋の神隠し」に出てくる
謎の食べ物について考察してきました。
神をもてなす料理を意味しますが、
それ以外にも深い意味が色々あることがわかりました。
またその正体は、
シーラカンスの胃袋説が有力のようです。